デポーコラム~まちなかの森からあなたへ③“あそぶ”―おもちゃと赤ちゃん

オーナー高田です。みなさんにとって
「あそぶ」「おもちゃ」って、
どんなイメージですか?

「おもちゃ」って、子どもだましとか、
役にたたないこととか、
ガラクタとかって思っていませんか?

うん。ボクたち大人は、そんなイメージで
育てられてきた人が多いかもしれませんね。
でも、ちょっと待って。
実は、赤ちゃんや子どもにとって
「遊ぶこと」は「学ぶこと」と同じなんです。

デポーが大切にしているおもちゃのひとつに、
和久洋三さんデザインの
「カラーボール」(童具館)があります。
虹の色から発想された6色のブナ材のボール。
大人から見れば、木の球に色を塗ったもの、
もしかしたらそれだけかもしれません。

でも、赤ちゃんが握ったとたんに、
それは命を吹き込まれます。
生きたものになるんです。

デポーと同じ年に生まれた長女が
6か月のころです。
うつぶせになっていたときに、
目の前にカラーボールを置きました。
ちょっとの手の動きで、
カラフルなボールは転がっていきます。
それを娘は、キラキラした目で追います。

お座りができるようになったら、
カチカチと両手でボールを合わせて
音を楽しんでいました。
ハイハイができるようになればなったで、
自分で転がしたボールを
自ら追いかけるようになりました。

ボクたち大人は、何も教えていません。
彼女は、自分で
すべてを発見していきました。

それは、うちの長女だけではありません。
赤ちゃんたちはみんな、
その時々の発達にあった遊び方を、
自らおもちゃに働きかけて、
「発見」していくんです。

それが、その子の「生きる力」を
育てていきます。
目には見えないかもしれないけれど、
確実に赤ちゃんの心に息づいていきます。
だから、赤ちゃんにとっては、
「遊び」は「学び」なのです。

ただの木のボール。されど木のボール。
我が家では3姉弟が計14~15年、
遊んでいました。
我が家のカラーボールは長女が、
大きくなれば、おままごとの材料になりました。
下の子が生まれると、
また長女のあゆみの繰り返しです。
木についた小さな傷もまた、味わいになり、
大切な思い出になります。

シンプルな木のおもちゃには、
豊かな力があります。
家族の心を育てます。
そして家族の時間を育みます。

だから、赤ちゃん時代のおもちゃ選びは、
赤ちゃんの育ちにとって、
とても大事なことなんですね。
そう。

もう少しだけ、ボクの話をしてもいいですか?
ボクは実は若いころ、今では世界的に
有名になったゲーム会社に勤めていました。
きっとあのゲームもこのゲームも、あなたは
タイトルを聞いたことがあるはずです。

あるとき、同期のS君と上司に呼ばれました。
上司から「高田君、S君。
きみたちにはほかの同期たちとは別の道を
進んでもらうことになる」と伝えられました。
別の道とは、つまり出世コースです。

だけど、僕は即、断りました。僕の人生は、
ここではないと感じていたからです。
そして、その数年後、
デポーを創業することになるのです。

デポーオープン後、その上司と、
たまたま再開しました。
仕事で訪れた、東京国際フォーラムでの
おもちゃの大きなイベント会場でした。
スーツ姿の上司に、ジーンズのボク。
「高田君どうだい。S君は今、
億を稼いでいるよ。君はどうかね?」と聞かれました。

はい。ボクは、億なんて稼いでいません。
もしかしたら、あのまま働いていたら、
お金持ちになっていたかもしれませんね。
木のおもちゃの仕事はそんな金額が、
稼げるようなものではありませんから。

そう答えたかどうだか、今は覚えていません。
だけどボクは、デポーでの仕事を、
心の底から誇りにしています。

なぜって?ボクたちデポーは、
赤ちゃんと子どもの豊かな育ちを守る、
大切な、ほんとうに大切な
仕事をしているからです。

「遊びは、学び」。
家族の「遊び」を宝物の時間にしていくこと。
それが、地球でひとつだけのお店、
ボクたちデポーの使命です。

【デポー年輪ものがたり:もくじ】

《第1話》
デポーコラム~まちなかの森からあなたへ~プロローグ
《第2話》
デポーコラム~まちなかの森からあなたへ〜①生涯のおきゃくさま
《第3話》
デポーコラム~まちなかの森からあなたへ~② はたらく”いちまいの張り紙『子どものおむかえにいっています』

これからの予告

④ くらす”――里山の丁寧なくらし
⑤一時退院して、いちばんにデポーに来てくださった、ちいさなお客さま
⑥ 修理は、ご家族の思い出を支えるとても幸せな作業
⑦木がつなぐ、木がいやす、止まった心の時間
⑧ママという役割は、もっとシンプルでいいんですよ
⑨ありのままの、わたしでいい。ありのままの、わたしがいい
⑩いつも、誰かが気にかけてくれるから
⑪夢が、実現する場所
エピローグ 25年後の夢 みんなの育ちを育む、まちなかの森

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木のおもちゃデポー
徳島市沖浜町南開330-1
088−656−0636
(月曜定休or祭日月曜は営業で火曜休み)
営業時間 10時~18時
駐車場は店舗前に10台 店舗前東側7台