「何年か前の、無力感を感じていた自分は、
もういません…」と、スタッフミーティングで
ぽつり…ともらしたスタッフ原田。
いつもクールな人の一言の奥には、
普段は心に閉まってある、
大事な、だいじな想いがありました。
関東で過ごした学生時代。
友達同士の家に集まり、
よくスティッキー(HABA社)や
ガイスター(メビウス社)などの
ボードゲームをワイワイと
楽しんでいたといいます。
そんな原田を変えたのは、
2011年3月11日。東日本大震災。
先輩と後輩を失いました。
よく一緒にゲームを
楽しんでいた人たちでした。
暮らしが落ち着くと、
被災者支援で東北を訪れ、
同じようなおもちゃで
ゲームを楽しむ機会を持ちました。
力なくうなだれる人や、なんとか
元気に振る舞おうとする人々の中で、
じぶんたちに出来ることの少なさに、
無力さを感じます。
「じぶんの中のなにか大事なものが
あのとき、 どんどん崩れて
消えていくような想いがしました」。
徳島に戻った後も、引っ越しの荷物から、
学生の頃のボードゲームも、
木のおもちゃも、
出すことができなかったと言います。
それでも、建築士として、
温かい家族のために、木や暖炉のぬくもりある
家をたくさん設計していきます。
温かい施主さんたちとの出会いもありました。
学生時代のおもちゃを、
少しだけ取り出したのは、
あの日から4年がたったころでした。
新築住宅の見学会用に子ども部屋に
そのおもちゃを飾りました。
見学会でそのおもちゃに反応した
見知らぬ男性。
それが、自宅のリフォームを検討して
見学会を訪れたオーナー高田でした。
高田の家のリフォーム、そして
新店舗建築の際も
設計見積もりを担当した原田。
スタッフ藤原の木の家も設計してくれました。
そして少しずつ、あの頃のものに
触れられるようになっていった原田は、
デポーの求人を発見。
即日、お店に電話して、
面接を申し込みました。
こちらもびっくりするやら嬉しいやら。
そして、デポーに転職。
今、原田の何よりの喜びは、自身が設計した
木の住宅に住む施主さんが
デポーを訪れてくださること。
施主さんたちと、原田が大事にしたい思いは、
デポーの大事にしたいことと
しっかりつながっているようです。
あの頃、まだ小さかった赤ちゃんが、
今はしっかり自分の足で歩いて、
ニコニコしながら、
木のおもちゃを使って遊んでいる。
きっと、大丈夫。必ず、大丈夫。
過去と今を生き抜いて、未来へ向かう姿に、
原田は今日も元気をもらっています。
【デポー年輪ものがたり:もくじ】
《第1話》
デポーコラム~まちなかの森からあなたへ~プロローグ
《第2話》
デポーコラム~まちなかの森からあなたへ〜①生涯のおきゃくさま
《第3話》
デポーコラム~まちなかの森からあなたへ~② はたらく”いちまいの張り紙『子どものおむかえにいっています』
《第4話》
デポーコラム~まちなかの森からあなたへ③“あそぶ”―おもちゃと赤ちゃん
《第5話》
デポーコラム~まちなかの森からあなたへ~④ くらす”――里山の丁寧なくらし
《第6話》
デポーコラム~まちなかの森からあなたへ~⑤ 一時退院して、いちばんにデポーに来てくださった、ちいさなお客さま
《第7話》
デポーコラム~まちなかの森からあなたへ~⑥ 修理は、ご家族の思い出を支えるとても幸せな作業
これからの予告
⑧ママという役割は、もっとシンプルでいいんですよ
⑨ありのままの、わたしでいい。ありのままの、わたしがいい
⑩いつも、誰かが気にかけてくれるから
⑪夢が、実現する場所
エピローグ 25年後の夢 みんなの育ちを育む、まちなかの森
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木のおもちゃデポー
徳島市沖浜町南開330-1
088−656−0636
(月曜定休or祭日月曜は営業で火曜休み)
営業時間 10時~18時
駐車場は店舗前に10台 店舗前東側7台