もう10数年前になるでしょうか。
勤続20年近いベテランスタッフ南保は、
ずっとその女の子のことが
心に残っています。
それは、平日のお昼、
お客さんが少ない時間帯でした。
鈴の音とともにドアが開き、
6~7歳くらいの女の子が入ってきました。
ちいさなお客様は、冬ではないけれど、
ニット帽をかぶり、マスクをしています。
一緒に来たお母さんが、
南保に教えてくださいました。
長期の入院中だという女の子。
一時退院の時の行きたい場所に、
一番に挙げたのが、デポーだったそうです。
「デポーに来ると、癒されるみたいで…」。
女の子は、メタルフォンなど
音の出るおもちゃを楽しまれていました。
清涼なメタルフォンの音が、
静かな店内に響きます。
娘さんの様子を、微笑みながら
静かに寄りそっているお母さま。
おもちゃだけでなく、木の香り、
丁寧につくられたおもちゃが作り出す、
空間そのものを慈しむように
過ごしておられました。
貴重な一時退院の時間を、
何かを食べに行くのではなく、
にぎやかな場所に行くのでもなく、
デポーを選んでくださったお2人でした。
2001年の「木のオルゴール展」
(そごう徳島店開催)で
デポーにひとめぼれして以来、
往復2時間半の通勤時代を経て、
店長西原の家のそばに家を建てた南保。
勤続20年近くの多くの出会いの中で、
この親子お2人から「デポーの魅力は、
商品だけでなく、
このお店の空気そのものでもあるんだ」と
教えられたといいます。
県外からやってきた南保夫婦
身寄りのない土地で、仕事と子育てを両立させ、今では同じ悩みを持つお母さんやスタッフの心強い相談相手であり、いつまでも末っ子キャラのかわいい存在。
そんな彼女の存在を何より心強く感じている私たちです。
《第1話》
デポーコラム~まちなかの森からあなたへ~プロローグ
《第2話》
デポーコラム~まちなかの森からあなたへ〜①生涯のおきゃくさま
《第3話》
デポーコラム~まちなかの森からあなたへ~② はたらく”いちまいの張り紙『子どものおむかえにいっています』
《第4話》
デポーコラム~まちなかの森からあなたへ③“あそぶ”―おもちゃと赤ちゃん
《第5話》
デポーコラム~まちなかの森からあなたへ~④ くらす”――里山の丁寧なくらし
これからの予告
⑥ 修理は、ご家族の思い出を支えるとても幸せな作業
⑦ 木がつなぐ、木がいやす、止まった心の時間
⑧ママという役割は、もっとシンプルでいいんですよ
⑨ありのままの、わたしでいい。ありのままの、わたしがいい
⑩いつも、誰かが気にかけてくれるから
⑪夢が、実現する場所
エピローグ 25年後の夢 みんなの育ちを育む、まちなかの森
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木のおもちゃデポー
徳島市沖浜町南開330-1
088−656−0636
(月曜定休or祭日月曜は営業で火曜休み)
営業時間 10時~18時
駐車場は店舗前に10台 店舗前東側7台